個人で事業を行っている方や、副業を始めたばかりの方の中には、ビジネスの支払いにプライベート用のクレジットカードを使っているケースも少なくありません。しかし、ビジネスにはビジネス専用のカードを使うべき理由がいくつかあります。

まず第一に、経費と私的支出の混同を避けるためです。
プライベートカードで仕事の支払いをすると、あとでどの支出が経費で、どれが私用なのかを区別する必要があり、仕分け作業が非常に面倒になります。確定申告の際に領収書や明細をもとに経費を整理する手間が増えるだけでなく、誤って私的支出を経費として計上してしまうリスクもあります。

次に、税務調査時のリスクです。
税務署から調査が入った場合、経費の内容を説明する必要がありますが、プライベートカードの明細は私的な支出も含まれているため、「本当に必要な経費かどうか」について疑われやすくなります。このことが原因で、経費として認められないケースや追徴課税につながるケースもあります。

また、キャッシュフローの把握が難しくなるという点も見逃せません。
ビジネス用の支出が生活費と混ざることで、実際の事業の収支が見えづらくなります。これでは、資金繰りを正確に判断したり、適切な投資判断をしたりすることが難しくなります。

さらに、ビジネスカードならではの特典を享受できないというデメリットもあります。
ビジネスカードには、経費管理ツールや会計ソフトとの連携機能、出張時の優待サービスなど、事業運営に役立つ機能が多数備わっています。これらはプライベートカードにはない、「仕事に特化した支援機能」です。

もちろん、開業直後や売上が安定していない時期には「審査に通らないかも」と不安になるかもしれませんが、個人事業主向けのビジネスカードは比較的作りやすいものも増えてきています。

以上のように、ビジネスにプライベートカードを使うことには多くのリスクが伴い、結果的に非効率です。長期的な視点で見ても、早めにビジネス専用カードを用意することが、健全な経営への第一歩といえるでしょう。